⑦ヨハネス・クロプフィッチ教授
今回の滞在で私がレッスンをお願いしたのは、
ウィーン市立音楽院教授のクロプフィッチ先生でした。
御年53歳。オーストリア人で私の母校・ウィーン国立音楽大学の
卒業生でいらっしゃいます。20歳の頃、プライベートでレッスンを
お願いしていた故ハンス・グラーフ教授のアシスタントもされており、
また、私の恩師・原佳大先生のクラスメイトでもあったということを
お聞きしていたため、今回、是非シューベルトのレッスンをお願い
したい!と思いました。レッスンの準備が間に合っているとは言えない
状態ではありましたが(-_-)、ありがたくも大変高い評価を頂戴し、
丁寧且つ有意義なレッスンをしてくださいました。3回のレッスンは
とても楽しくて、あっという間でした。 先生は妹さん、弟さんと共に
結成したピアノトリオ「Jess Trio」(HP:http://www.jess-trio-wien.at/)
の演奏活動や音楽院でのレッスン、管理職としての仕事で大変
お忙しい生活のなか、毎日の練習(最低2時間)は欠かさず!、
4人のお子さんも立派に育てていらっしゃいます。
一番上の息子さんはヴァイオリニストで、若干16歳にして
ORFオーケストラのコンサートマスターをされているとか!!
まぁ、日本ではそういうことは許されないとは思いますが、
オーストリアではそうやって才能ある若者を育てて行くんですね。
真ん中のお嬢さん二人はチェロとピアノだったかな?
末っ子のヤコブ君には、偶然演奏会でお会いしました。
まだ8歳ということでしたが、きりっとしていてお行儀良く演奏に
耳を傾けていました。ヤコブ君はこれまた才能あるピアニストのようで、
ベーゼンドルファー社主催のコンサートに出演したりしている
そうです。可愛い顔写真入りのパンフレットをいただきました(^^)
今や音楽家一族となっておられますが、先生のご両親は法律家
だったそう。長男である先生は、法律を勉強することを強いられ、
ウィーン大学で法学の博士号を取得されたものの、
最終的には音楽家としての道を選ばれたそうです。
何処も長男は大変ですね~。
他にも、別荘のお話や趣味のワイン作りのお話などお聞きしましたが、
どれもため息の出るような話ばかりでした~。
ウィーン滞在記⑦
2014年4月9日 水曜日ウィーン滞在記⑥
2014年4月8日 火曜日⑥ベルヴェデーレ宮殿
ベルヴェデーレ宮殿内は美術館になっていて、
クリムトやシーレの絵を見に行きました。
こちらは4区にあり、私達が滞在していたアパートから近かったです。
内部は昔とはだいぶ変わったようで、近代的な雰囲気に
なっていました。クリムトの絵も昔はもっと間近に見ることができた
ように思うんですが、今はガラス越しにしか見られないんですね(-_-)
なんだかがっかりしてしまいましたが、玄関に飾る絵を一つ購入して、
外へ。ここは上宮と下宮の間が広くて良い眺めです。
散歩後は、夜のバレエ(白鳥の湖)に備えてアパートに戻りました。
ウィーン滞在記⑤
2014年4月8日 火曜日⑤中央墓地
ベートーヴェンのお墓も絶対にはずせないという娘の希望で
中央墓地へ。市電71でリンクから行くこともできますが、
時間がかかるので、途中まではU3(地下鉄)で行きました。
この日も天気が良くて、なにより暖かかったのが幸いでした。
何せ広々しているので、寒い日に行くと辛い場所です(^^;)
広い中央墓地ですが、作曲家のお墓はまとめて配置して
くれているので助かります。周りには小花が咲いていて、
まるで公園のような明るい雰囲気です。ここには、モーツァルト、
ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ヴォルフ、ブルックナー
などの超有名な作曲家の他、ヨハン・シュトラウス父子やヨーゼフ・
ランナーなどウィンナワルツの本家達のお墓もあります。
ここも、24年前に訪れた時は感激したな~。
何せ日本の高校生だった私にとっては、楽譜の中で見る名前
くらいにしか思っていなかったので・・・。
上の写真はブラームスのお墓です。
ウィーン滞在記④
2014年4月8日 火曜日④ベートーヴェンの遺書の家
今回のウィーン滞在で、娘がどうしても行きたいと言ったのは
ベートーヴェンゆかりの場所でした。 私は毎日の練習と1週間に
3回行われるレッスンでかなり忙しかったので、すべてを廻るのは
無理でしたが、19区の美しい景色を見せずに帰るわけには
いかないということで、この日は「遺書の家」へ。
ホイリゲ街で有名なグリンツィング近くに住む友人を訪ねた足で
向かいました。今年のウィーンは暖冬だったそうで、3月でも薄い
上着で充分でした。一足早く訪れた春らしく、若葉が美しかった。
グリンツィングからバスに乗り換えて4つほどの停留所で下車し、
徒歩で遺書の家へ向かう途中、Beethovengang(ベートーヴェンの
小径)で記念撮影しました。上の写真です。
遺書の家は24年前、私が初めて訪れた時とほとんど変わって
いないようでした(私の記憶が確かであれば・・・ですが(^^;)
中庭のある小さな普通のアパートで、バス通りから少し奥に入った
所なので静かです。娘はデスマスクの小ささに驚いていました。
たしかに、ベートーヴェンさんは意外なほど小さなお顔です。
夏の間、この静かな場所でさまざまな作品を書いたんだな~と
思いながら、外へ。もう一つ行かなければならないのが散歩径です。
小川を眺めながら少し歩きました。あんまり歩くと大変かな?
そろそろバス停に向かおうかと思ったあたりに遊具のある公園が
ありました。娘はすごい勢いで走って行き、しばらくの間狂ったように
遊んでいました(笑)。地元の子供達も来ていたので、
言葉は発しませんでしたが、一緒にシーソーに乗ったりして、
国際交流(?)していました(^^)
ウィーン滞在記③
2014年4月8日 火曜日③ウィーン楽友協会資料室
ウィーン楽友協会資料室室長のオットー・ビーバ先生の
レクチャーを受けてきました。エレベーターで上の階へ向かい、
一般人は立ち入りできない場所へ。 今回、私が10年ぶりに参加
したウィーン・メロス音楽セミナーは開講して15年ほどになりますが、
こちらでレクチャーを開くのは2度目とのことでした。 その記念すべき
2度目に遭遇することができたのは幸運でした。
ビーバ先生が私達に見せてくださったのは、なんと!モーツァルト、
ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームスの自筆譜です。
白い手袋をはめ、箱からうやうやしく出されるものの、
ガラスケース越しではなく、目の前にあるのはまさに本物!
先生は、モーツァルトから順番に譜面を見ながら、
作曲家それぞれの作曲のプロセスを説明してくださいました。
中でもおもしろかったのは、シューベルトの譜面です。
彼の死後、友人達が自筆譜を少しでも欲しいと言い、
なんと!譜面を切り刻んで1片ずつ分け合ったといいます。
そのばらばらになった譜面のかけらを、楽友協会では、
これまで地道に収集してきたとか・・・。一番最近見つかった1片は、
オークションにかけられたそうですが、かなりの高値をふっかけられ、
それでもやむなく、ビーバ先生の前任者の方が競り落としたそうです。
楽譜を読む上で大事なのは、残すところあと1片だそうで、
先生は今も、その1片を手にした人が楽友協会を訪れてくれることを
願っているそうです。 まったく気の遠くなるようなお話でした。
ウィーン滞在記②
2014年4月7日 月曜日②キッズコンサート
今年はちょうどウィーン楽友協会の地下ホール創設10周年記念
でした。 私が留学していた当初にはなかった地下ホール、
イベント会場がいくつかできていて、さまざまな催しをしている
ようです。
今回は、日曜日の午前中に開催していたキッズコンサートに
出かけてきました。 ケーキ付きコンサート"Kling Klang"です。
こちらはピアノ・バイオリン・ファゴットという珍しい楽器の組み合わせ。
モーツァルトの姉ナンネルが出てきて、進行をつとめていました。
パーティーをしていたら、いろいろな人からプレゼントが届くという
ストーリーです。中でもおもしろかったのはハイドンからのプレゼント
だという「かつら」。 当時はかつらをかぶるのが習慣でしたが、
かつらをかぶって演奏するのは暑いのよね~、ふーふー、
それに頭がかゆいわ~、なんていうのを皆で歌いました(笑)。
小さな楽器が皆に配られ(私達は、木片にビール瓶の蓋が
取り付けられた楽器(?)でした。 ジャラジャラ鳴らしながら、
トルコ行進曲(ベートーヴェン)のピアノ演奏に合わせたのも
楽しかったです。
あの「前打音」がどういう音なのか、皆よくわかったことでしょう!
春のコンサート<連弾と合奏の会>
2014年4月7日 月曜日4月6日(日)
4月だというのに寒い1日でしたね~。
大盛況の中、春のコンサート終了しました。
想像以上の多くのお客様に恵まれ、急遽椅子の追加を2度
行い、なんとか収まりましたが危なかったです(^^;)
演奏の方は、前日の練習で何度もズレズレになってしまった
6手連弾もなんとか無事に済み、ホッとしています。
今回、新1年生以上は子供達同士の連弾に挑戦したため、
事前の合わせ練習ではかなり冷や汗をかきましたが、
本番での子供達の底力には驚きました。
ソロとは違う難しさ、そして楽しさを実感してもらえたかな?
今週のレッスンはお休みですが、また来週から基礎レッスン、
そして9月の発表会に向けて準備していきましょう。
保護者の皆様も大変お疲れ様でした。
最後になりましたが、写真はプレゼント会の様子です。
中学生までの子供対象に行いました。大人の生徒さんには
個別に指導者が選んだプレゼントをお渡ししました。
ウィーン滞在記①
2014年4月2日 水曜日3月21日から10日間、ウィーンに滞在してきました。
滞在中に経験したことをいくつか書き留めておこうと
思います。
①「シェーンブルン宮殿 子供ミュージアム」
シェーンブルン宮殿「子供ミュージアム」のガイドツアーに
参加しました。 このツアーの参加対象年齢は6才以上。
予約制となっているため、日本にいるうちにネット予約をして
おきました。 15時~のツアーに参加していたのは、
オーストリア人の姉弟とウチの娘だけ。 当然ではありますが、
説明はすべてドイツ語だったので、娘には私が通訳をしながらの
参加となりました。 今回のテーマは、ハプスブルグ家の師弟が
当時どのような生活を送っていたのかを知るというもので、
まずはシェーンブルン宮殿の模型を眺めながら、
ガイドさんの説明を聞きました。 全体の部屋数が307(!)あり、
王家の子供たちは各自、自分の部屋を5~6個所有していた
そうです。 次は、マリアテレジア女帝の子供たちのお話。
マリアテレジア女帝には16人の子供がいました。
子供たちの中でも有名なのは、フランス王室に嫁いだ悲劇のお后
マリー・アントワネットですね。 彼女もそうですが、他の王女も
ほとんどがマリア・***という名前なんですね。
これは、厳格なカトリック教徒であったハプスブルグ家の習わしで、
子供たちの名前の初めに、キリスト教の聖人の名前を使ったため
だそうです。 特に、女性の聖人は少ないため、聖母マリアの名前が
多用されました。
次は、マリア・テレジア女帝とその夫フランツ1世とその子供たちの
肖像画の前へ。 床に描かれた星の上に立つ若い王子は皇太子。
一家の中でもっとも大切な存在であることを示しているんだとか。
他に、身分の高い人を示す赤い色がどのように絵の中に
使われているかを見ていきました。 赤は、マリア・テレジアのマント、
そして、フランツ1世と皇太子の靴の「かかと」に使われていました。
「かかと」とはおもしろい発想ですね~。
絵を見ながら、描かれている動物についてのお話もありました。
猿と犬(今は絶滅してしまった種だそう)が描かれていて、
いろいろな物を収集するのが好きだったフランツ1世の希望で
描かれたそうです。 王家の繁栄を強調する意味もあった
と言われています。 絵の中には、ベビーカーのような乗り物に
乗っている幼児がいて、頭が黒いことにも注目しました。
この黒い物はヘルメットのような物で、幼子の頭を守るために
かぶらせていたとか。 少し大きな王女の背中にはリボンのような
物がつながれていました。 これは、迷子にならないように使用
されていたようです。 ヨーロッパでは、博物館などの広い場所で
紐につながれた子供を見かけますが、今も昔も同じなんですね~。
続いて子供部屋へ。 壁の全面に、海と森林が広がる風景が
描かれていました。まるで南国に来たかのような気持ちにさせる
ほど見事な絵でした。部屋の中にあるベッドは、エリザベート王妃の
娘・ギーゼラが実際に使っていた物だとか。
その隣にある部屋には、王家の子女が使っていた勉強道具が
置いてありました。 子供には変化に富んだ教育をほどこさなければ
ならないとするマリア・テレジア女帝の意向に添い、
教育にあたってさまざまな工夫がなされていたそうです。
王家の子供達の1日は、7:30起床に始まり、家庭教師による
マンツーマンの勉強が午前、午後に渡り続けられました。
教育内容は、特に語学、芸術、科学の3本柱に重点を置いて
行われました。 政略結婚により帝国の規模を広げていった
ハプスブルグ家の子女が周辺国に嫁いで行く日は遠くなく、
特に語学教育は大事だったそうです。
教育はすべて家庭教師が行い、学校で友達と遊ぶこともできず、
両親である王・王妃とはごくたまにしか面会できない
(同じ城に住んでいるのにも関わらず・・・)王家の子女達は
可哀想でしたね~などとガイドさんは話されていました。
ガイドツアーの最後には、当時を再現した羽ペンで文字を書く
体験やドレス、かつら、手袋などを自由に試着するスペースで
記念撮影をしたりして、閉館時間を迎えました。
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